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関福大リレーコラム・壁は、子どもの中にない〜「ともに学ぶ」教室をつくるために〜

 2026年06月21日 
 障がいのある子とない子が「ともに学ぶ」とはどういうことでしょうか。今回は、私がこれまで大切にしてきたことを整理してみたいと思います。

 まず押さえておきたいのは、同じ場所にいるだけでは「ともに学ぶ」ことにはならない、ということです。教師による個別の支援やルール・道具の工夫は大切ですが、あくまで手立てであって目的ではありません。

 では、乗り越えるべき壁とは何でしょうか。私は、障がいそのものではないと考えています。インクルージョンを妨げているのは、多くのルールが多数派(障がいのない人)を前提につくられ「当たり前」になっていること、そして「障がいがあるから、できなくても仕方がない」という偏見です。壁は、子どもの中にではなく、周りの環境や多数派の側にあるのです。

 壁が環境の側にあるなら、整えるべきも環境です。ただし、教師が「あの子のために」と一方的に手を加えると、「特別扱い」の空気が生まれます。また、子どもたちが「このルールじゃ一緒にできない」と自分で気づくより先に教師がルールを変えてしまえば、その気づきの機会が失われます。教師にできるのは、子どもが排除という状況に気づき、悩み、考えられる環境を整えて、そっと後押しするところまで。その先の葛藤を解決するのは子ども自身でなければなりません。インクルージョンは、押しつけて分かるものではないからです。

 それでも多くの子は「もう無理」と、ともに学ぶことをあきらめてしまうかもしれません。それでも、教育者としてあきらめてはいけないと思っています。たとえその場で解決できなくても、「一緒にできていないけど、これでいいのかな?」と一度違和感に触れた経験は、何年も先になって芽を出すことがあるからです。

 ただ、「待つ」ことができるのは多数派だけかもしれません。待っているあいだも、障がいのある子は「迷惑がられる」つらさを今まさに引き受けています。多数派の成長を待つあいだも、少数派の子が傷つかずにいられる環境を整えることが欠かせません。あきらめない覚悟と、待つあいだに少数派を守る設計。この両方がそろって初めて、ともに学ぶ教室は成り立つのだと考えています。

 インクルージョンの入口である共感は、「他人の違いを教わること」よりも、「自分も壁の外側に立たされた経験がある」と気づくことからではないでしょうか。その経験を入口に相手の事情を知ろうとする。ただし「自分と同じだ」で終わらせず、「同じ高さの壁ではない」ことも忘れない。その両方を持てる人を育てること――それが、教育に携わる者としての私の願いです。(教育学部保健教育学科講師・萩原大河)

   * * *

 次回からは社会福祉学部社会福祉学科講師の石田咲子先生が担当します。お楽しみに。



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掲載紙面(PDF):
2026年6月20日号(2648号) 2面 (5,947,070byte)
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