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関福大リレーコラム・「多様性」について

 2025年05月30日 
 こんにちは。関西福祉大学の中村誠です。

 「ダイバーシティ」という言葉は「多様性」と訳されることが多く、様々な価値や背景、属性等を持った人々が共存している状態を指すようです。小中学校においてもこの考え方をもとに多くの実践がされています。

 様々な人々との共存を考える場合、そこには「自分と同じ人間はいない」という認識と同時に「他者も自分と同じ人間である」という認識が必要です。一見矛盾するこの二つの認識は「許容」と「寛容」というキーワードで考えることができるのではないでしょうか。

 人間は自分と違う存在を恐れ排除しようとする本性を持っています。ですから排除せずに受け入れる「許容」の範囲を広げていくことが大切です。また、すべての人間は必ず失敗をします。これを前提にしたうえで共存を考えるときに大切なのが「寛容」の心です。

 「ダイバーシティ」という考え方が広がる一方で、「許容」や「寛容」という言葉からは程遠い出来事が世の中に溢れてきているように思います。自分自身の日常を振り返っても、はっと反省させられることがしばしばあります。

 中学校の校長をしていた頃、入学式や保護者会などで「学校はトラブルを経験するところです」という話を度々しました。保護者の立場としては「トラブルなく伸び伸び成長してほしい」と願うのが当たり前です。自分もそうでした。しかし、人間が二人以上存在すれば、必ず何らかのトラブルが発生します。だって同じ人間はいないのですから…。そのような環境の中で他者を許容する範囲を広げ、互いの失敗を許す寛容さを身に着けていく必要があります。これは「個人内の多様性」を育むことだとも言えます。

 先日「誰も傷つかない社会」というポスターを見て違和感を覚えました。社会生活で他者と関われば少なからず軋轢が生じます。悪意はなくとも他者を傷つけることがあります。それは当たり前なんです。ですが、それを乗り越えさせるのは、多くの心的経験に基づく深い人間理解です。
 子供たちにとっては学校などで多くの他者と様々な関わりを持つことが重要です。さらに物語や小説を読むことも、深い人間理解に少なからぬ貢献をするのではないかと思っています。そんな中での大人の役割を私たちは考えなければなりません。

(教育学部児童教育学科准教授・中村誠) 



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掲載紙面(PDF):
2025年5月31日号(2599号) 4面 (6,556,823byte)
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