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関福大リレーコラム・支える人も、支えられている

 2026年03月06日 
 ブレスレットづくりの活動が少しずつ形になり始めた頃、私が最も心を動かされたのは、利用者の変化だけではありませんでした。実は、いちばん変わっていったのは、支援する側のまなざしだったのです。

 活動を始めた当初、スタッフの皆さんは戸惑いを隠せませんでした。「本当にできるだろうか」「失敗させてしまわないか」「負担にならないだろうか」。支援の現場では、どうしても“できることを提供する”という考え方が優先されます。安全で、確実で、失敗しない活動を選ぶことが大切だと考えられてきました。

 しかし、芸術活動は少し違います。正解がありません。完成形も一つではありません。だからこそ、「できる・できない」という評価の軸が揺らぎます。ある利用者がゆっくりと時間をかけて色を選び、配置を変え、何度もやり直す姿を見たとき、スタッフの一人がぽつりとこう言いました。「この人、こんなにこだわりがあったんですね」。

 それは、新しい発見でした。普段の生活場面では見えにくい感性や集中力が、創作の場では自然にあらわれます。支援者は“手伝う人”から、“一緒に考える人”へと立ち位置を変えていきました。

 活動を重ねるうちに、スタッフ自身も楽しみ始めました。「今日はどんな色の組み合わせが生まれるだろう」「この人はどんな発想をするだろう」。そうした期待が、場の空気を柔らかくしていきました。

 ある日、完成した作品を前に、利用者とスタッフが同じくらい嬉しそうな顔をしているのを見て、私は気づきました。支援とは一方向のものではなく、関係の中で育まれるものなのだと。

 地域の方が作品を手に取り、「素敵ですね」と声をかけてくださることも増えました。その言葉は、利用者の誇りになるだけでなく、支援者の自信にもなります。芸術は、能力を証明する場ではなく、人と人との距離を縮める営みなのかもしれません。

 障害のある人を「支える対象」として見るのではなく、「共に社会をつくる存在」として見ること。その視点の変化こそが、この活動が私たちに与えてくれた最大の贈り物でした。(社会福祉学部社会福祉学科助教・餅原秀希)



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掲載紙面(PDF):
2026年3月7日号(2635号) 2面 (6,542,046byte)
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