赤穂の昔話・第7話「桔梗の花」
2019年09月28日
赤穂藩では、奉行名で村の庄屋に、
「咲いている桔梗の花を、根から抜き取って捨ててしまえ」
と達しが出ました。
「なんでですか。どうしてですか。秋の七草に大切な花です」
人々は聞くのですが、
「はよう抜き取るのだ」
と、それはそれは厳しいお達しでした。
庄屋に言われた村の人たちも首をかしげ、
「なんでやろうなあ。よっぽどのわけがあるんやで。萩、なでしこが美しゅう咲いとんのになあ」
と、ひそひそ、こそこそと話し、抜くことをしぶっていましたが、またもやきついお達しがありました。
村人たちは仕方なく野山に入りました。そして、桔梗の花を抜き取っていると、庄屋の一人が来て、
「みんな、ご苦労さんやなあ。赤穂藩が、なんで桔梗の花を嫌うているかわかったんや。ちょっと話が長うなるが、手を休めないで聞いてくれ。織田信長公が天下統一を目の前にして、家来の明智光秀に本能寺で討たれたことは知っとるやろう。赤穂領主のご先祖で、信長公の小姓頭であった森蘭丸と、弟の坊丸、力丸の三人が主君信長と悲しい最期を遂げたのや。にくい明智光秀の『家紋』が桔梗の花だったんや」
それを聞いた村の人々は腹を立て、一生懸命抜き取りました。武士道の信義を破った、卑怯な光秀に対する、怨みの「家紋」を、赤穂藩では「忌花」としたのです。
今でも、赤穂の山野に桔梗の花が他国に比べ少ないのはこのためです。
(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第二集』・「桔梗の花」より)=切り絵・村杉創夢
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掲載紙面(PDF):
2019年9月28日号(2341号) 3面 (9,591,876byte)
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コメント
懐かしい。
本当にそんな御触れがあったかは???ですね。
岡山県津山市辺りにも同じ話しがある様です…
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投稿:おバアはん 2019年09月28日コメントを書く