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「もうひとつの故郷」卒寿女性が水彩画展

 2025年07月19日 
 卒寿の女性がこれまでの人生のほぼ半分を過ごしたロサンゼルスの風景を描いた作品展「もうひとつのふるさと 市宮千種 水彩画個展」が坂越の「坂越まち並み館」で16日から開かれている。

「もう一つのふるさと」と話すロサンゼルスの風景画が並ぶ個展会場と作者の市宮千種さん


 市宮千種(いちみや・ちぐさ)さん(89)は坂越生まれの元看護師。「最先端の医療環境で働きたい」と32歳で単身渡米し、ニューヨークやボストンなどの名門病院で勤務した。最も長く滞在したのがロサンゼルスで、定年後も2013年に帰国するまでアート制作やテニスなどを楽しみながら現地での自由な生活を謳歌した。

 今展では、米滞在中に制作した作品と当時見た景色を思い出しながら最近描いた新作を合わせて30点を出品。世界最大のヨットハーバー「マリナ・デル・レイ」をモチーフにした作品は西海岸の明るい日差しと爽やかな風を感じさせる。先住民の聖地「モニュメントバレー」を描いた一枚は赤茶けた荒野と透き通る青空のコントラストが美しい。「夜明け」と題した作品は、グランドキャニオンを照らす朝日に患者の回復を願って祈りを捧げたときに見た風景だ。

 ロサンゼルス時代、心臓外科ICUで長年夜勤を担当した市宮さん。今回展示した作品に描いているのは、いずれも「勤務からくる心身の疲弊を癒やし、エネルギーをリチャージする助けとなった場所」だといい、「これらの絵を見ると、看護師として患者さんの命と向き合っていた日々が思い出される」と懐しむ。

 個展を開くのは、故郷の坂越浦を描いた作品を同館に並べた昨年に続いて2回目。「私にとってロスアンゼルスはもう一つのふるさと。想いは尽きることがありません。景色の雄大さを感じてもらえれば」と話している。

 8月18日(月)まで午前10時〜午後4時(火曜休館)。入館無料。TEL0791・48・7770。
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