忠臣蔵のふるさと・播州赤穂の地域紙「赤穂民報」のニュースサイト
文字の大きさ

赤穂民報


  1. トップページ
  2. 赤穂の昔話
  3. 記事詳細

赤穂の昔話・第17話「帆坂池の大蛇」

 2020年08月01日 
 
 昔むかし、大津の帆坂池に大きな蛇がすんでいました。池のまわりには何百本という杉の木が茂り、大蛇は枝から落ちてくる杉の精分を含んだ水滴が、とても苦手でした。
 「杉の水が当たると痛くてかなわん。何とかならんかのう」。大蛇は山伏に変身して赤穂の城下へ向かいました。
 そのころ、赤穂の城下では水不足で困っていました。山伏になった大蛇は殿様の前に進み出て、「帆坂池のまわりでは、いつも雨が降っています。ところが、赤穂の城下は水不足です。これは帆坂池の龍神様が怒っているからにちがいありません」と言いました。
 「何故じゃ。龍神様は何を怒っているのじゃ、申してみよ」と尋ねる殿様に、山伏は「龍神様は杉の木が大嫌いです。池のまわりの杉の木を全部切ってしまえば、龍神様もお喜びになり、きっと雨を降らせてくれることでしょう」と言いました。
 殿様は、さっそく池のまわりの杉を一本残らず家来に切らせました。ところが、雨は一向に降りません。怒った殿様が山伏を捕らえるよう家来に命じると、山伏は大蛇の姿に戻り、帆坂池に逃げ込んでしまいました。
 「おのれっ。龍神様の名をつかい、余をだましたな。何としても討ち取れ!」
 殿様はかんかんに怒り、家来に厳しく命令しましたが、大蛇は池の中です。どうしようもありません。
 そこへ一人の石工が通りがかりました。話を聞いた石工は、肩にかけた袋から玄翁(石を割るときに使う鉄の槌)を取り出し、「ここだっ!」と勢いよく池に投げ入れました。玄翁は大蛇の頭に命中し、池の水は真っ赤になりました。それが黒く変わったかと思うと、噴水のように空に向かって噴き上がり、その水をつたって大蛇は雲のかなたに姿を消してしまいました。 
 それ以来、帆坂池の主は「玄翁」ということになりました。玄翁のさびが少しずつ溶けるためか、帆坂池はいつも茶色くにごっている、ということです。(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第一集』・「池の主は玄翁」より)=切り絵・村杉創夢
<前の記事


掲載紙面(PDF):
2020年8月1日号(2380号) 2面 (8,631,834byte)
 (PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)


コメントを書く

お名前 (必須。ペンネーム可):

メールアドレス (任意入力 表示されません):

内容 (必須入力):

※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。
投稿ルールを遵守できる方のみご投稿ください。
今週のイベント・催し
23
(月)
 
24
(火)
25
(水)
26
(木)
27
(金)
 
28
(土)
 
29
(日)

最新のコメント

  • 周世最終処分場の「閉鎖」市が撤回←お年寄り(03/27)
  • 戦後七十年・語り継ぐ(6)〜長崎で九死に一生←宮澤 貫(03/25)
  • 周世最終処分場の「閉鎖」市が撤回←(03/24)

各種お申込み

以下より各お申込み、資料請求フォームにリンクしています。ご活用下さい。

メール会員登録

赤穂民報のニュース(一部)をリアルタイムでお届けします。

e-mail(半角入力)

携帯でドメイン指定受信をされている方は「@QRmail.jp」を指定してください。

スマホサイトQRコード

スマホ用URLをメールでお知らせ!
e-mail(半角入力)


ドメイン指定受信をされている方は「@ako-minpo.jp」を指定してください。

閉じる
中村唯心堂 中道工務店 矢野防水工業 赤穂メモリアルホール 野中砂子土地区画整理組合 花岳寺 兵庫県警
閉じる
中村唯心堂 中道工務店 矢野防水工業 赤穂メモリアルホール 野中砂子土地区画整理組合 花岳寺 兵庫県警