赤穂義士が眠る泉岳寺（東京都港区高輪）そばの８階建てマンション建設をめぐり、「歴史的景観、文化的価値を損ねる」などと建設に反対する市民グループが、用地の買い取りを区に求める署名運動を展開している。義士祭が行われた１４日には参拝者であふれた同寺境内に署名ブースを設置し、協力を呼び掛けた。
　建設用地（約４００平方メートル）は港区指定文化財の中門のすぐそばで、国指定史跡の義士墓所の東側に当たる。東京都内の不動産会社が高さ約２３・８メートルの単身者向け共同住宅を建設する計画。区が来年１０月の運用を予定している高さ制限（２４メートル）に収めた設計となっているが、「景観に配慮して３階建てよりも高い建物は建てないようにしてきた」という地元住民には抵抗感が強い。
　住民たちを中心に発足した「国指定史跡・泉岳寺の文化財を守る会」（西須好輝代表）と泉岳寺は今年９月、計画変更を指導するよう求める請願を約８４００筆の署名を添えて区議会へ提出。全会一致で採択されたが法的強制力はなく、事業者は１０月末に当初設計のまま着工した。
　同寺と同会は１１月、建築確認に違法性があるとして、取り消しを求める審査請求を申し立てた。来年１月に口頭審査が開かれる予定だが、この間も工事は進められている。
　同会は「今のところ、用地を買い取る以外に問題解決の手立てはなく、赤穂のみなさんにも署名で力を貸してほしい」と訴えている。
　署名は来年１月末で一旦集計し、２月の区議会へ提出する予定。用紙は同会ホームページ（http://sengakuji-mamoru.jimdo.com）からダウンロードできる。問い合わせは泉岳寺Tel０７０・６５６０・８０６２。

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掲載紙面（PDF）：
2014年12月20日（2116号） 3面 (13,660,717byte)
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