2025年12月20日
赤穂中学校で昨年6月に発生した部活動中の事故をめぐり、「学校と市教育委員会の不当な対応で教育を受ける権利を侵害された」などとして、被害生徒の保護者が兵庫県弁護士会に人権救済を申し立てた。
県弁護士会から保護者に今月8日付けで「調査を行うことが相当」との通知文書が届き、人権侵害の有無について調査が開始される見通しだ。
事故は昨年6月26日の放課後、運動場でミーティングしていたサッカー部の男子生徒(当時2年)の頭に、野球部のボールが衝突したもの。生徒は事故後から強い倦怠感や頭痛を訴え、「頭部外傷に起因する起立性調節障害」と診断された。保護者によると、治療により症状が緩和された時期があったものの、家で寝たきりの日も多く、今年度の2学期は今のところ5日しか登校できていないという。
保護者は申立書で、事故後の対応や調査に不備があり、学習や行事でのサポートも不十分―などと指摘。事故発生当時の校長と教育長を相手方として、県弁護士会による事実関係の調査と人権侵害の認定、再発防止策の徹底などを求めている。
人権救済申立は、憲法が保障する生命身体の自由や安全、基本的人権が侵害される恐れがある事態について、弁護士会に救済を求める制度。人権擁護委員会による調査で人権侵害が認められれば、弁護士会が相手方に対し、警告・勧告などの措置を行ったり、和解をあっせんしたりするが、法的な強制力はない。
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2025年12月20日号(2625号)2面 (7,780,357byte)