競馬のＧI・第８３回日本ダービー（２９日、東京競馬場・芝２４００メートル）で坂越出身の友道康夫調教師（５２）＝赤穂観光大使＝が管理するマカヒキ号（牡３）が２分２４秒０で優勝した。競馬界で「最高の栄誉」とされるダービー制覇。友道師は開業１６年目で念願の「ダービー・トレーナー」となった。
　３番人気で出走したマカヒキはゲートをスムーズに発馬し、道中は８番手あたりで折り合った。最後の直線で馬群を割るように進出すると、残り２００メートルから川田将雅騎手のステッキに鋭く反応して一気に加速。さつき賞馬で１番人気のディーマジェスティを置き去り、２番人気・サトノダイヤモンドとの一騎打ちをハナ差制した。
　前走のさつき賞（ＧI）は悔しい２着。それでも、「その馬の個性や体調を見ながら、バランス良く育てていく」（友道師）という信念は曲げなかった。馬に無理な調教は課さず、じっくりと育成。「これで負けたら仕方がない」と言えるほど申し分のない仕上がりで送り出した。
　「マカヒキのレースには毎回着けている」という赤い“勝負ネクタイ”を締めてレースを見守った。「（勝てて）ほっとしました。最後の直線は久しぶりに声が出た。叫んでました」。将来調教師になることを目指している大学３年生の長男・優一さんも一緒に観戦し、父子並んで優勝の記念写真に収まった。最高の舞台で調教師という仕事の魅力と「おやじの背中」を息子に見せ、故郷の母・喜久子さん（７６）を「親孝行してくれてありがとう」と喜ばせた。
　「史上最強」と言われる世代の頂点に立ったマカヒキの次戦は秋。３歳馬同士の菊花賞には使わず、天皇賞とジャパンカップで古馬を相手に戦うか、父のディープインパクトが果たせなかった凱旋門賞Ｖを目指してフランスに渡るかの選択になるという。
　「精神的にも、肉体的にも最高の馬。しかも、まだまだ伸びしろがある。もっと強くなってほしい」。ハワイの言葉で「収穫祭」を意味する馬名のマカヒキ。素質を開花させた友道師が、その類い希な能力をどのように実らせるのか。手腕に期待と注目が集まる。
　友道師は赤穂高校から獣医師を目指して大阪府立大学農学部へ進学。馬術部の先輩に誘われて始めた競馬場の警備アルバイトでサラブレッドの魅力にひかれ、調教師を志した。
　調教助手として下積みに努め、平成１３年に６度目のトライで調教師試験に合格。これまでに春の天皇賞を制したアドマイヤジュピタ、さつき賞馬・アンライバルドなどを育てた。今回のダービーＶでＧIは通算６勝目。
　▼友道師の話＝「普段は競馬を見ない人からも応援していただき、みなさんのおかげで勝利できました。これからもマカヒキを応援してください」

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掲載紙面（PDF）：
2016年6月4日(2187号) 1面 (11,083,470byte)
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