2026年10月03日
これまで、犯罪・非行を福祉やヴァルネラビリティの視点から考えることの重要性などについてお話ししてきました。しかし、こうした内容は用語も難しく、あまり馴染みがないと感じる人も多いかもしれません。
そこで、今回は少し視点を変えて、小説や映画といった身近な作品を題材に社会の問題について考えてみたいと思います。
まず、ビクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』を紹介します。映画化やミュージカル化もされており、映像や劇場で見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。実際に私も映画館に観に行き、ミュージカルも観劇し、大いに楽しんだ作品です。
一方、犯罪との関係で述べると、この物語には、姉の子どもの飢えを満たすために一斤のパンを盗んで投獄された主人公や自身の子どもを育てるために体を売らざるを得なくなった貧しい女性が登場します。犯罪に至る社会的背景や環境的要因、更生、さらには貧困や偏見といった現代でも通じる社会の問題が描かれています。
もう一つは、『ズートピア』というディズニー映画です。主人公のキツネのニックは、詐欺師、つまり犯罪で生計を立てて暮らしています。しかし、最初から詐欺師だったわけではなく、幼い頃は正義感の強いキツネでした。肉食動物であるという理由で周りの草食動物から身体的・精神的ないじめを受け、他者を信じることをやめ、その結果詐欺師として生きてきたという背景がありました。
ほかにも、この作品にはアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)、差別、多様性、共生といったテーマを考える上でも参考になるヒントが散りばめられています。
この二つは私が授業でも紹介する作品ですが、こうしてみると、社会の問題について学んだり、考えたりするヒントになるのは必ずしも実際の出来事ばかりではありません。私たちが普段触れている作品、あるいは自分の好きな小説や漫画、映画、ドラマが新たな発見を与えてくれ、学びにつながるきっかけになるかもしれません。(社会福祉学部社会福祉学科講師・石田咲子)

[ かしこい子育て ]
掲載紙面(PDF):
2026年10月3日号(2661号)2面 (4,324,743byte)
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