赤穂民報

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コラム【人とまちと猫の調和を目指して】(5)大学生餌やり君のケジメのつけ方

2023年04月01日

 ちょうど去年の今頃、卒業のシーズンにその依頼は舞い込みました。


大学生に引き取られた猫たち

大学生に引き取られた猫たち


 依頼人は大学卒業を控えた学生君。「アパートに来る野良猫2匹に餌をあげてかわいがっていたが、4月から大阪の実家に帰って就職するため餌があげられなくなる。かわいそうなので大阪の実家に連れて帰りたいがなかなか捕まらないので捕獲を手伝って欲しい!」といった依頼内容でした。

 詳しく聞いてみると、2匹のうち黒猫は、よくなついていたので自分で保護したうえ、動物病院で去勢手術も済ませ、すでに大阪の実家に連れて帰っていました。しかし、もう一匹のキジトラは警戒心が強く自分では捕獲できない。しかもアパートを引き上げるまでのタイムリミットはたったの3日……。もし捕獲できなければ大阪から餌を送るので、私たちに毎晩アパートまで餌をあげに行って欲しい、とのこと。

 「ちょっと待てぇ……」こちらはフルタイムで仕事をして、その合間を縫って必死でボランティア活動をしているのです。キジトラはかわいそうだけど、毎晩餌をあげに行くことはできないので、ワンチャンス!頑張って捕獲しよう!と、日曜日の早朝、学生君のアパートのベランダに捕獲器を設置。どうかキジトラが現れますように…。祈るような気持ちで待ちました。そしてお昼前に無事にキジトラを捕獲することができ、翌日、心優しき学生君は大阪から迎えにきた親御さんとともに赤穂を引き上げていきました。めでたしめでたし…

 と、このケースは心優しき学生君が、野良猫に餌をあげていた責任を全うして、赤穂の2匹の野良猫を大阪で家猫にしてくれた、本当にいい話です。親御さんも意識が高く、素晴らしい対応でした。

 しかし、いつもこうとは限りません。餌やりさんが急死してしまい、アパートの前で何日も猫が鳴き続けていたケースや、餌やりさんが引っ越したため、猫たちが解散して近所に散らばりゴミをあさり出すケースなど、可哀想なエピソードも多く、そしていつも犠牲になるのは罪のない猫たちなのです。

 「餌やり禁止」で野良猫問題を解決した自治体はないそうです。A地区で餌やりを禁止すれば、お隣のB地区やC地区に猫が移動するだけです。隣町に野良猫問題を押し付けても根本的な解決にならないのは明白です。

 野良猫を減らすには、不妊去勢手術をして地域猫として見守るか、保護して家猫にする、これしかないのです。

 小さな命に責任を持って向き合える人が、赤穂市でも増えて欲しいと願う今日このごろです。(赤穂の野良猫を地域猫にする会)


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掲載紙面(PDF):

2023年4月1日号(2502号)3面 (9,714,363byte)


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