赤穂民報

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赤穂の昔話・第18話「灰の縄ない」(下)

2020年09月19日

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 「灰で縄をなうことはむつかしいことやが、縄のまま灰にすることはできるぞ。まず、赤穂へ行ってな、塩をつくるときにできる苦汁をもらってこい。この苦汁をわらにじゅうぶんにしみこませてな、つぎにそのわらをよく打ってな、それでかたく縄をなうんや。苦汁がしみこんだ縄ができたら、こんどは、それに菜種油をぬって火をつけるとな、藁は燃えて灰になるけど、苦汁を含んだ灰は、くずれずに縄の形のまま残るんや」
 若者はやってみました。すると、父親の言ったとおり、灰の縄ができました。さっそくできた灰の縄を、代官のところに持っていきました。
 灰で縄などをなえるはずはない。今年は二倍の年貢がとれるぞ、とほくそえんでいた代官は、見事な灰の縄をみて、一時はがっかりしました。そして、灰の縄の見事なできばえに、感服してしまいました。
 「それにしても、これは、じつにみごとな灰の縄だ。まったく恐れいった。どのような方法でつくったのか、申してみよ。ほうびは望みのものをとらそう」
 若者は、寝たきりの父親を山に捨てずに、床下の穴にかくまっていたこと。その父親に灰の縄のないかたを教えてもらったことを話し、
 「ほうびは何もいりません。年寄りを山に捨てさせることだけはやめてください」
と、申しあげました。
 さすがの悪代官も、この若者の親を思う心にうたれて、良心にめざめました。そして、いままでの悪い仕打ちを悔い改めて、悪いおふれを全て取り消しました。また自分も倹約につとめ村人の模範になるよう心がけました。
 それからは、年貢も軽くなり、年寄りは村の宝だといって、大切にされるようになりました。年寄りが捨てられていた横山の姥捨山は、それからは「命山」と呼ばれるようになりました。現在は「湯の内」という地名になっています。(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第二集』・「灰の縄ない」より)=切り絵・村杉創夢


赤穂の昔話 ]

掲載紙面(PDF):

2020年9月19日号(2386号)4面 (11,884,866byte)


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