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【社説】市と猟友会は問題点の検証を

2020年05月16日

 民家駐車場の軽トラックに鉛玉が当たり、ドアが傷ついた事故。詳細は警察が捜査中だが、状況からみて散弾銃を使用した有害鳥獣捕獲の流れ弾が着弾した可能性が高い。

 関係者の話から、いくつかの問題点が浮かび上がってきた。

 まず、大日本猟友会が使用禁止を通達している「大粒散弾」が使用されていたことだ。
 大粒散弾は威力が強く、獲物に命中しやすい利点があると同時に、散らばった弾丸が石などに当たって跳ね返る「跳弾」となって万一、人にでも当たったら致命傷となる危険性をはらむ。兵庫県猟友会赤穂市支部も、「使用禁止を申し合わせていた」というが、なぜ徹底が図られなかったのか。

 次に、銃猟を行っていた場所が千種川河川敷だったことだ。

 猟友会関係者の話では、今季の有害鳥獣捕獲の許可申請を前に一部会員から「千種川河川敷一帯を許可区域から外すべきではないか」と許可権を持つ赤穂市へ申し入れがあったという。大小さまざまな石が転がる河川敷は、とりわけ跳弾のリスクが高いからだ。しかし、結果的には従来通り「赤穂市全域」を対象とした許可申請が提出され、市も千種川河川敷を除外することなく許可証を交付した。

 市は、千種川河川敷で今季最初の有害鳥獣捕獲が行われた4月4日、「現場に立ち会い、活動の安全性を確認できた」(農林水産係)と話す。しかし、実際にその場にいた猟友会員によると、「その日は獲物が現れなかったので一発も銃を撃つことはなかった」という。

 市は、「その後も現場確認を実施する予定だったが、その矢先に事故が起きた」と話す。事故が起きたのは今季8日目の千種川河川敷での活動日だったが、この間、市の現場確認はなかった。市は「毎回現場確認できるというわけではない」というが、それならば、現場確認できるまで少なくとも千種川河川敷での活動を見合わせるよう指導すべきでなかったか。

 もう一点は、銃を使った有害鳥獣捕獲の日時と場所などの情報の市民への通知が十分とは言えないことだ。

 赤穂市鳥獣捕獲許可等事務取扱要領には班長の任務として、「関係行政機関、地元警察署、地元集落その他関係者と緊密な連絡を取ること」を求めており、例えば地元自治会には有害鳥獣捕獲を実施する日程表が渡されているという。しかし、一般市民には知らされていない。市のホームページに掲載するなどして、より広く周知することは可能だ。

 「人に当たらなくて良かった」と済ませたり、許可証を返納して終わりではなく、これらの問題点を検証し、市民に報告する責任が市と猟友会にはあるはずだ。また、2019年度に捕獲されたイノシシとシカの合計773頭のうち、9割以上はわなによるもので、銃による捕獲は57頭に過ぎない。銃を使用する必要性についても検討の必要がある。


社説 ]

関連サイト:

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掲載紙面(PDF):

2020年5月16日号(2370号)3面 (8,230,421byte)


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コメント

銃による捕獲は57頭/773頭=7%

前の記事に猟銃で助かっているとコメントがあったが、それはごく一部の話。

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投稿:危険>必要性 2020年05月16日


市や猟友会のコメントが言い訳にしか聞こえない方が多いと思います。
市や猟友会は、もし軽トラの近くにいた子供達が、ご自身の家族や大切な人だったらと想定して検討と報告をお願いしたいです。
もちろん恐い思いをされた子供達やその御家族へのケアは早急にすべきですが、責任逃れやなすり合いでは、何も前進しないと思います。

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投稿:不幸中の幸い 2020年05月16日


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