赤穂民報

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赤穂の昔話・第8話「おさんさん」(上)

2019年10月12日

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 大津の船渡に、おさんという娘が住んでいました。おさんの両親は、おさんが生まれた年の流行病で死んだため、おさんは遠縁の者に預けられて大きくなりました。
 十八のときに、おさんは近所の男のもとに嫁ぎました。男は、年老いた母親と二人暮らしで、貧乏でしたが、村一番の孝行息子といわれるくらい母親思いの人でした。おさんは亭主の母親の面倒をよくみて、朝から晩まで働き、貧しいながらも三人仲よく暮らしていました。
 このころ、浅野の殿様が赤穂を治めていました。殿様は塩屋の石ヶ崎に堤防を築いて新しい田畑を開拓する計画を立てました。そして、塩屋と大津の村人に、堤防の工事に出るよう命令しました。おさんの亭主も村人と一緒に命令に従って働きました。
 でも、何年たっても工事は完成しません。水門のところが、何回つくっても壊れてしまうのです。しびれをきらした殿様は、今年のうちに水門の工事を完成させるよう厳しく命じました。
 村人たちは庄屋の家に集まって相談しました。名案は出てきません。3日目の会合で、それまで黙っていた組頭が重い口を開きました。
 「………人柱しかないか………」(つづく)=切り絵・村杉創夢


赤穂の昔話 ]

掲載紙面(PDF):

2019年10月12日号(2343号)2面 (6,750,618byte)


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