赤穂民報

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創作きりえ昔話・潮吹き穴と赤穂の塩(二)

2016年02月27日

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 為吉は、昔から、このあたりの海には、たくさんの魚がいたし、貝やエビなどもたくさん取れていたこと聞いていた。
 それなのに、どうして、このあたりで急に、魚がとれなくなったのか。どうしたら、昔のように魚がとれるようになるのか、一生懸命考えた。でも、考えても、どうしてもわからないことばかりだった。
 為吉は、あちこちにいる年取った漁師の人達に聞いて回った。このあたりで、何か変わった出来事がなかったかを聞いて回ったのだ。そうすると、一つ分かったことがあった。それは、岬の突端に「潮吹き穴」と呼ばれる洞窟があったのだが、かれこれ五十年も前の話だが、大きな地震が起きて、岩が崩れて「潮吹き穴」の洞窟がふさがってしまったそうだ。
 「潮吹き穴」というのは、大きな波が、ザバーンと打ち寄せると、波が洞窟の中まで入っていき、しばらくすると、崖の途中にある穴から、プオーと海水を噴き出していたそうだ。だから、昔の人たちは、「潮吹き穴」とこの洞窟を呼んでいたそうだ。潮吹きというくらいだから、塩のような、しょっぱい水を噴き出していたのではないかと為吉は、考えた。
 その地震の後、潮吹き穴から、潮を噴き出しているところを見た者はいないことが分かった。魚がいなくなったことと、潮吹き穴がふさがったことに、何かつながりがあるのではないかと考えたのだ。
 だとすると、潮吹き穴を探さなくてはならない。潮吹き穴が本当にあるのか。地震で、その洞窟がふさがってしまったのか。このことを、全部調べてみようと思い立ったのだ。(作・切り絵 村杉創夢)


赤穂の昔話 ]

掲載紙面(PDF):

2016年2月27日(2175号)3面 (10,228,700byte)


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