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関西福祉大学リレーコラム・学びについて考える(2)考える力

 2016年10月29日 
 今回は、子どもと一緒に学ぶ方法について考えていきましょう。
 “学ぶ”とは、身近な存在である親や先生を真似ることから始めて応用を学んでいく一連の行動のことであることは前回お話ししました。真似る行為は乳幼児期から始まり、徐々に応用に進んでいくのですが、応用に進んでいく時、子どもは「考える」必要に迫られます。
 例えば、子どもが剣玉で遊んでいる場面を想像してください。「どうやったら上手くできるの」と聞かれたらあなたは何と答えますか。お手本となる人がそばにいる場合、「よく見て、考えてごらん」と言いますね。子どもは、どこをどのように見て考えればよいのか迷ってしまうことでしょう。
 つまり、「考えてごらん」と言うときには、何をどのように見て考えればよいのかを示すことが大切なのです。この場合は、「上手い人の膝の動きを見てごらん」「剣玉のむきはどうなっているかな」「自分の持ち方と比べてみたら」など、どこをどのように見て考えれば良いのかを示すのです。このように、どこをどのように見るのかという視点を与えることは、考える方法を教えることであると言えます。視点がないまま考えを持つことは、大学生であってもなかなか難しいのです。
 私は、「学習科学」という立場から、「教えること」と「学ぶこと」を科学的に研究しています。学習科学という学問は、心理学の発展により認知心理学、脳科学、コンピュータサイエンスなど多くの学問分野を総合して誕生した科学ですから、心の科学と認知の科学の両方が入っています。
 これは、子どもにザリガニ釣りの仕方を教えたり、キャンプに行って火をおこさせたりしながら、子どものやる気を引き出すために褒めたり、やり遂げるよう励ましたりすること似ています。このように活動を行って知識や技能を得ることと、心の満足の両方を満たす方法は「学習科学」と同じといえるでしょう。
 体験から生まれた「なぜ、どうして」という考える力は、考え続けることにより、深い理解に繋がります。たとえばテレビで、2枚の写真の違いを見つけさせる番組があります。これは、脳の神経細胞がいっせいに活動して、見えなかった違いが見えるようになる体験です。わからないで考えている時のうずうずした感じ、ひらめいた時の「ああ、そうか!」と緊張が解けて、大きなよろこびを感じる心の動きを「アハ!体験」といい、関係する脳の回路を強化します。粘り強く物事を考え続けるためには、自分でやりたい、こうしたらどうなるかなといった興味、関心が持続することが必要です。
 それは、2020年から実施される新しい学校教育の方針に強調されている、「主体的・能動的に学ぶこと」にも必要とされています。ヒトがいくつになっても自分の興味や関心のあることを続けていけるのは、工夫を考え続けて脳が活性化しているからです。このことから、考える力をつけていくには、「子どもが自分から進んで」粘り強くものごとに関わり続けることが大切なのです。
 次回は日常に潜む不思議に気付く「アハ!体験」から、子どもを育てる環境について考えていきましょう。(金沢緑・発達教育学部教授)
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掲載紙面(PDF):
2016年10月29日(2204号) 3面 (9,559,213byte)
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