忠臣蔵のふるさと・播州赤穂の地域紙「赤穂民報」のニュースサイト
文字の大きさ

赤穂民報


  1. トップページ
  2. 赤穂の昔話
  3. 記事詳細

創作きりえ昔話・潮吹き穴と赤穂の塩(四)

 2016年04月23日 
 
 為吉は、まず、石職人(石工=いしく)のところへ行き、石の割り方を教わってきた。石職人は、為吉が、あまりに真剣だったので、石の割り方をおしえ、石割りの道具も、用意してくれた。
 それから毎日、その洞窟に行って、崩れ落ちた岩や石を運び出すことを始めた。大きな岩は、砕いて、小さくしてから運び出すのだ。一人の力で運び出せる大きさにして、背中に背負ったカゴにいれ、一つ一つ、運び出していったのだ。それでも、他の男よりも、力持ちだったので、倍くらいの大きさのものを運んで行けたのだ。
 夜明けとともに、まずは、千種川に行き、鯉やフナ、鮎や川エビを捕って村で売って歩いた。時には、ウナギも捕りに出かけた。
 昼間は、毎日のように、潮吹き穴のある海岸に行き、石や土を運んでいった。なにしろ、海岸は石がゴロゴロしていて、歩くのもままならない。そんな場所で、重い石
を運ぶのは、大変な作業だった。
 だから、大きな石は、小さく砕かなければならない。この作業に時間がかかったのだ。大きな石は、なかなか砕けるものではない。毎日毎日、来る日も来る日も、大きな石と戦っていった。
 運び出す石は、近くの海岸には置けない。なぜなら、せっかく捨てた石が、潮吹き穴の洞窟に転がって来たら困るので、少し離れた海岸まで運ぶしかないのだ。その海岸は、遠浅だったので、少し沖に出て、運んできた石を積み上げていった。潮が引いているときには、簡単に運び込めたが、潮が満ちてくると海の中まで入って行かなければならなかった。
 毎日毎日、雨の日も、風の日も、夏の日照りの中でも、寒い冬の日でも、こつこつと運び続けた。(作・切り絵 村杉創夢)
 *  *  *
 ▽村杉創夢=30歳ごろから趣味の切り絵を始め、歳時記や風景を題材に通算40回の個展を開催。自宅に「村杉きりえギャラリー」を開設し、オリジナルの物語に切り絵を組み合わせた「創作むかしばなし」の制作にも取り組む。東京都町田市在住(赤穂市出身)、71歳。
<前の記事


掲載紙面(PDF):
2016年4月23日(2182号) 4面 (10,729,577byte)
 (PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)


コメントを書く

お名前 (必須。ペンネーム可):

メールアドレス (任意入力 表示されません):

内容 (必須入力):

※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。
投稿ルールを遵守できる方のみご投稿ください。
今週のイベント・催し
23
(月)
 
24
(火)
25
(水)
26
(木)
27
(金)
 
28
(土)
 
29
(日)

最新のコメント

  • 周世最終処分場の「閉鎖」市が撤回←お年寄り(03/27)
  • 戦後七十年・語り継ぐ(6)〜長崎で九死に一生←宮澤 貫(03/25)
  • 周世最終処分場の「閉鎖」市が撤回←(03/24)

各種お申込み

以下より各お申込み、資料請求フォームにリンクしています。ご活用下さい。

メール会員登録

赤穂民報のニュース(一部)をリアルタイムでお届けします。

e-mail(半角入力)

携帯でドメイン指定受信をされている方は「@QRmail.jp」を指定してください。

スマホサイトQRコード

スマホ用URLをメールでお知らせ!
e-mail(半角入力)


ドメイン指定受信をされている方は「@ako-minpo.jp」を指定してください。

閉じる
中村唯心堂 中道工務店 矢野防水工業 赤穂メモリアルホール 野中砂子土地区画整理組合 花岳寺 兵庫県警
閉じる
中村唯心堂 中道工務店 矢野防水工業 赤穂メモリアルホール 野中砂子土地区画整理組合 花岳寺 兵庫県警