赤穂民報

コラム【陣太鼓】大漁旗はためく日を願う(6月11日)

 ▼支援隊に同行して1カ月ぶりに入った被災地。避難所の人たちが口にした“今後の課題”は主に3つ。「仮設住宅が当たらなかったらどうするか」「今後の生計」「集落の復興」
 ▼北上子育て支援センターに避難している人たちも仮設の抽選を終えた。数世帯が希望した場所に当たらなかった。希望が叶った人も「自分だけ出て行っデいいのか」と葛藤がある
 ▼津波で船を失った兼業漁師の60代男性。「船さえあっダら、ウニやアワビ穫って何とかなるっぺ」と時間があれば中古船サイトを見る。「38万円ってのがあっダよ。どうすっぺかな」
 ▼近所同士で高台への移転を希望しているという元公務員の60代男性は「うちの集落は気持ちは固まっダ。あとは行政がやっデくれっかどうかダ」。言い切り口調とは裏腹に、生まれ育った土地を離れる無念さが顔のしわににじむ
 ▼喪服姿で避難所に戻ってきた70代女性。震災から約3カ月経ってようやく見つかった親戚の葬儀に参列してきた。「まだ、親や子が見つかっデねえ人もいるんだよ。それを思っダら…なんにも考えられね」
 ▼さまざまな思いを飲み込むように被災地の一日はあっという間に暮れていった。半壊状態で残った浜の民家には気持ちを鼓舞しようと住民が吊るした大漁旗が垂れ下がっていた。海辺の町に大漁旗がはためくのはいつの日か

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