赤穂民報

コラム【陣太鼓】幻に終わった「鹿久居島原発」計画(5月28日)

 ▼今から約40年前、日生町に原子力発電所を建設する計画があったことをご存知だろうか。計画が発表されたのは昭和42年ごろ。中国電力が鹿久居島での原発建設計画を公表し、国が地質調査を許可する方針を表明した
 ▼日生町漁協、頭島漁協が猛反対。5000筆を超える署名を携えて県と国への陳情を重ねた。国は調査許可の方針を事実上撤回。岡山県議会は47年3月、「瀬戸内海での原子力発電所建設に反対」の意見書を議員提案で採択し、計画は立ち消えた
 ▼計画をめぐっては、本紙が当時の社説で「百害あって一利なしの鹿久居島原発」と書くなど、赤穂市でも反対運動があった。「公害をなくする赤穂市民の会」(島田繁会長)は、「アメリカから輸入しようとしている大型軽水炉の安全性には多くの疑問がある」「大規模な事故が起きた場合、影響の及ぶ範囲は広い」「漁民から漁場を奪い、瀬戸内海を汚染する」などとする反対要望書を岡山県議会へ提出している
 ▼福島第一原発の事故は当時の指摘が的を射ていたことを証明した。原発が「電力の安定供給」を“錦の御旗”に国策として進められてきたことを思うと、「近くになくてよかった」と済ませることはできない。

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