赤穂民報

雪の国道で立ち往生 親切な父娘がくれた焼きそばパン(1月29日)

 「雪の中、親切に助けてくれた2人にお礼を伝えたいのです」と本紙に電話をしてきたのは坂越の会社員男性Iさん。

 強い寒波に見舞われた1月24日午後7時ごろ、Iさんはたつの市内の勤務先から車で帰宅する途中、相生市千尋町の高取峠を上り掛けたところでタイヤが雪でスリップして動けなり、やむなく路肩に寄せて停車した。雪は降り続け、そのうち峠は通行止めに。身動きが取れなくなったまま約3時間半が過ぎた頃、車の窓をノックする音が聞こえた。

 「私の車も動けなくなったんですけど、父が助けに来てくれました。よかったら、手助けしましょうか」。20代前半とみられる若い女性が声を掛けてくれた。Iさんは女性の父親の助言でギヤをバックに入れてゆっくり坂を後退。脱出に成功した。

 Iさんが感謝を述べた会話の中で、2人も赤穂市民だとわかった。父親は防寒着に長靴をはいていた。娘を救援するために歩いてきたのだろう。国道2号に出て有年回りで帰るというので、Iさんは後ろをついていくことにした。しかし、国道2号に入ると大渋滞。父娘の車もIさんの車も相生駅の横あたりでほとんど動けなくなった。そのとき、また女性がIさんの車にやって来た。窓を開けると、「何も食べてないですよね。よかったらどうぞ」とナイロン袋を渡された。中に焼きそばパンと昆布のおにぎり、温かいペットボトルのお茶が入っていた。

 女性が相生駅にある売店で買ってきたと思われた。Iさんは「改めてお礼をしたいので、連絡先を教えていただけませんか」と申し出たが、女性は「困ったときはお互いさまですから」と言って自分の車に戻っていった。その後、Iさんの車の前に別の車が割り込むなどして父娘の車とは離れた。

 通行可能になったのは翌朝の午前10時半だった。それでも「お二人の親切のおかげで、渋滞の間も温かい気持ちで待つことができた」という。「あのような局面で他人を思いやれるのは、なかなかできないのではないでしょうか。今でも思い出すとありがたさに涙が出そうになる」と言うIさん。「できればお礼と無事に帰宅できたことを直接伝えたいですが、せめてこの記事を目にしてもらえればありがたい」と話している。

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