赤穂民報

関福大リレーコラム・偉人に学ぶ「生き方」(9月3日)

 論語に「教有りて類無し」という言葉があります。「人間は教育によって違いが生じるのであり、生まれつきの差などの違いはない」。つまり教育により、人はすごく成長し他とは違った唯一の人間になっていくのだと。「三つ子の魂百まで」と言われるように幼い頃に身に付けたものは決して失われないのです。

 近年は、AIにより瞬時に情報を得ることができます。しかし、これだけでは、人として本質的なものは身に付きません。「人として何が大切か」を教えられるものの一つが偉人伝です。

 偉人伝は、人物から生き様を学べます。現代は昔とは状況が全く違うので偉人の成功体験などは、現代の社会背景とかけ離れていますが、読み方を少し変えることで、偉人の教えやいましめなどを読み取ることができ、思考力や国語力が高まります。

 私たちは毎日のように思考力を働かせ生活で工夫をするスキルを育んでいます。「なぜ、そうなのか? この人はこう考えていたのか?」など、このような中で思考力が鍛えられるのです。

 そして、高い思考力と国語力は、知力の基礎となり学力を高めます。先日、明治から終戦までの児童用教科書『修身(しゅうしん)』を読む機会がありました。今でいう特別の教科道徳です。その特徴は、人物を中心に物語風に書かれています。様々な苦労を乗り越え努力を積み重ねて、成功してきた様子が紹介され、子供には「生き方モデル」となります。

 地元赤穂での偉人では山鹿素行が有名です。赤穂藩は、素行を重用し藩士の教育を行いました。人としての心構えの大切さを教え育て、藩士の武士道精神の礎を築きました。この教えが「忠臣蔵」の義士誕生へつながったのでしょう。赤穂では素行を顕彰し、子供向けにも本が出版され身近に感じます。

 偉人を通して地域の歴史や文化が学べ、思考力や国語力はもちろんのこと郷土愛や誇りなどが育ち、さらには将来社会で活躍し地域に貢献できる有益な人材となることが期待できます。偉人から新たな発見があるかもしれませんね。(尼子尚公・教職センター教授)

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