赤穂民報

【社説】あまりに多い疑問点 病院はただちに釈明を(6月4日)

 赤穂市民病院の医療事故問題は、患者と家族が提訴した民事裁判の過程で徐々に全容が明らかになりつつある中、新たな謎や疑問が数多く生じている。以下、主なものを羅列する。

 (1)2019年10月にドリルを用いた手術で医療事故が起きた後、病院はどのような再発防止策を立てたのか。同じ医師が再びドリルで事故を起こすまでの約3か月半の間に、病院はどのような研修や指導を行ったのか。

 (2)同事故を外部検証した日本脊髄外科学会の役員は「硬膜損傷の原因は、稚拙で荒いドリル操作につきる」とドリル操作と損傷との因果関係を明確に指摘したのに、なぜ、病院は「医療過誤ではない」と判断したのか。事故調査委員会を開かずに、どうやって判断したのか。

 (3)同事故について脳神経外科が提出した検証結果報告書に虚偽の内容を記載したのは事実なのか。事実だとすれば、病院は関係者の処分を行ったのか。

 (4)科長は科内で合議した検証結果報告書の作成にも関わっていたはずなのに、なぜ、別紙で異論を提出する方法を選択したのか。検証結果報告書と内容の異なる文書が科長から提出された中、病院はどのように事実認定を行ったのか。なぜ、その時点で事故調査委員会を開かなかったのか。

 (5)日本脊髄外科学会の役員が検証した3件以外の医療事故について外部検証を行わなかったのはなぜか。外部検証を実施するかどうかの判断は誰が、どのような理由で行ったのか。

 (6)藤井隆院長(当時)はなぜ2020年3月1日のタイミングで医師に手術禁止処分を下したのか。もっと早い段階で処分を検討しなかったのか。

 (7)医療事故8件とも外部検証を行ったかのような内容のニュースレポートを公表したのはなぜか。

 (8)医療過誤を認めたにも関わらず、2020年1月の医療事故を警察に届け出なかったのはなぜか。院長は届け出を指示したのか、しなかったのか。

 (9)一連の医療事故について、患者や家族への説明は十分に行われたのか。

 これらは、いずれも赤穂市民病院の医療安全に関する重大な問題であり、患者や市民に説明されるべき事柄だが、病院はこれまで、一連の医療事故に関するほとんどの取材質問に対し、係争中であることを理由に答えていない。

 同病院の代理人弁護士は今年3月の記者会見で「法的に禁じられているということはない」と述べている。つまり、「係争中」を口実に隠蔽を続けているに過ぎない。

 病院はいつまで患者や市民を置き去りにするのだろうか。少なくとも裁判で公になった事柄については、ただちに記者会見を開くなどして市民に釈明すべきだ。

(連続医療事故に端を発し、医療安全体制の問題が噴出している赤穂市民病院)

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