赤穂民報

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支援要請に「ここには水はない」

2011年05月21日

 被災地支援用として市内民間企業から飲料水の無償提供申し出を受けた赤穂市が、宮城県の民間団体からの「水を送ってほしい」という要請の一部について、「企業から市への引き渡しが済んでいない」などの理由で応じなかったことがわかった。仲介した市内の男性は「被災者よりも『手続き』を優先するとは。まさに“お役所仕事”だ」と市の対応を非難している。
 男性によると、4月27日に所用で安全安心担当を訪れた際、「18リットル入り飲料水300ケースを民間から提供されることになったが、どの自治体に問い合わせても、『水は足りている』と言われた。もし、必要としているところがあれば教えてほしい」と相談を受けた。
 被災地で救援活動経験がある男性は、すぐに現地活動中のボランティアスタッフへ連絡。翌日には「2カ所に分けて活用したい。まずは150ケースを気仙沼へ送って」と現地から喜びの返事があった。男性から送り先を伝えられた市は、提供企業が契約している備前市内の倉庫から飲料水を引き取り、同日夕方に宅配便で発送した。
 問題が起こったのはこの後。現地スタッフから追伸を受けた男性が残り半分の送り先を市に伝達したところ、担当者に「水がないので送れない」と返された。不審に思って調べると、残り150ケースはさっきと同じ倉庫に保管されていることがわかった。
 男性は市の担当者に問い質したが、要領を得なかったため仲介を断念。知人と協力して代わりの水を手配し、現地との約束を果たした。その地域は当時、水道が未復旧で自衛隊や他県の支援チームが給水車を巡回。「行政は『足りている』と言ったかも知れないが、被災者は限られた量の水をちびちび使っていたのが現実」で、水道が全部復旧したのは5月16日だった。
 家根新・安全管理監は本紙取材に対し、「倉庫へ引き取りに行く人員を確保できず、『ここには水がない』と言ってしまった。言葉足らずで申し訳なかったが、決して嘘をついたわけではない」と弁明。宅配業者に集荷を頼まなかった理由については、「いきなり宅配業者を行かせるのは、提供企業に対して失礼になる」と話した。残りの飲料水は今月6日に市が受け取り、現在は市消防本部に備蓄されているという。
 男性は「一つ目の要請に応えてくれたことには感謝している」とした上で、「その次も送ろうと思えば送れたはず。被災者のことを第一に考えて、真心で判断してほしかった」と残念がっている。


社会 ]

掲載紙面(PDF):

2011年5月21日(1944号)1面 (7,210,438byte)


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コメント

今の段階では、市の協力がなければ何も送れないんですよ。
例えば、おにぎり100個用意したとして被災者が101人いたら
そこには、おにぎり配れないのですよ。
100人以下の場所でないと。
それを把握しているのが行政であり、協力なしではやれません。
募金だって、日本赤十字社が管理し被災者のところへ届くのは
まだまだ先。
市どころか、国レベルの話ですから。
結局、個人で出来ることなんて無いような気がします。

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投稿:市民 2011年05月23日


何でも、市役所に依頼。
しなければ、叩く。確かに叩きやすい組織ですね。
少しは個人で出来ることを考えればどうでしょうか?

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投稿:組織 2011年05月22日


http://www.ako-minpo.jp/data/d00050/f5046_0.pdf#page=4 に掲載されている件ですか?
「飲料水の要請」だったのか「生活用水の要請」かで論点に齟齬が生じる問題だと思います。
ただ役所担当の弁明は(嘘はついてないのかもしれないが)あまりにも場当たり過ぎで軽薄と思えてなりません。

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投稿:クロマ 2011年05月21日


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