赤穂民報

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蟻無山古墳の遺物に船形埴輪片

2011年04月06日

  • 全国でも珍しい船形埴輪の一部だとわかった埴輪片

    全国でも珍しい船形埴輪の一部だとわかった埴輪片

 赤穂市教委は6日、有年原の蟻無山古墳群で過去に採集された遺物に、全国的に珍しい「船形埴輪」の破片が含まれていたと発表した。船形埴輪は大阪、奈良を中心に50例ほどしか確認されていない。また、現地測量によって、従来は円墳とされていた1号墳が帆立貝型古墳だったこともわかった。「いずれも考古学研究の貴重な資料」とし、近く一般対象の現地説明会を開く。
 遺物の再整理は、埴輪研究の第一人者として知られる花園大学の高橋克壽教授の指導の下で行われた。昭和40年代の調査で採集された約100点を改めて分析した結果、鳥や弓筒など、これまで確定できていなかった埴輪の形が明らかに。うち2点が稀少な船形埴輪の破片と特定できた。
 また、今年1月から3月にかけて現地で行った測量調査によって、祭祀を行った付属施設とみられる「造出し部」(長さ11メートル、幅12メートル)が1号墳の北東方向に存在することが判明。従来調査で造出し部とされていた南東方向の張り出し(長さ11メートル、幅10メートル)は古墳本体の突出部であることがわかった。
 蟻無山古墳群は5世紀前半に築かれ、計3基からなる。このうち1号墳は全長52メートル、高さ12メートルで、古墳時代中期としては千種川流域で最大の古墳。「赤穂市史」によると、古墳築造の苛酷な労働を見かねたアリがほかの山へ引っ越していったーとの地名由来が伝えられている。昭和50年に県史跡に指定された。
 今回の調査成果について、市教委の荒木幸治学芸員(34)は「被葬者が千種川流域で大きな権力を誇っていた証拠。播磨の古代史を語る上で大変興味深い」と話す。
 市教委は一連の調査結果について報告書(A4判112ページ)を刊行。有年牟礼の塚山古墳群、周世宮裏山古墳群の測量調査結果も収録し、1部700円で販売する。
 現地説明会は4月23日(土)午後2時に「有年原・田中遺跡」へ集合。蟻無山古墳群の調査結果を解説するほか、船形埴輪片など採集遺物約20点を展示する。問合せは市教委文化財係電話43・6962。


文化・歴史 ]

掲載紙面(PDF):

2011年4月9日(1940号)4面 (6,855,670byte)


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コメント

赤穂市では「文化財」が”バカの壁”に隔てられて「資源」としての活用がなされていない。高所から語るだけでは一般人にはその価値が伝わらないよ。

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投稿:大久保彦左衛門 2011年04月06日


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