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故粟田哲也さんの遺稿集『鉄弥と文芸作品』

2018年09月01日

  • 「この本は主人そのもの」と出来上がった遺作集を見つめる妻の和子さん

    「この本は主人そのもの」と出来上がった遺作集を見つめる妻の和子さん

 「鳴瀬川鉄弥」のペンネームで生前、地元の文芸誌に多くの短編小説を投稿した元小学校長、粟田哲也さん(享年79)の作品をまとめた遺作集『鉄弥と文芸作品』がこのほど出来上がった。
 美術教諭だった哲也さんは定年後、二科展で入賞したほどの技術があった板金彫刻制作に加え、ライフワークとして季刊同人誌サークル「かぼちゃ畑」に入会。身近な出来事や少年時代の思い出を題材にした私小説、随想をつづり、ほぼ毎号寄稿した。
 遺作集は「本を通して、父の人となりを感じてほしい」と家族らが編集した。初投稿の「ただいま、徒食惰眠中につき」から絶筆となった「勘太とめじろ」まで52篇を、同人誌に掲載されたときと同じワープロ打ちの活字と自筆文字のまま2巻に分けて収録。職人との出会いでものづくりの面白さに目覚める「鍋釜の修繕屋と少年」、備前焼作家の父娘との邂逅を描いた「陶芸家 六」などフィクションでありながら実体験をしのばせる作品が多い。
 家族によると、2年前にがんで亡くなった哲也さんは闘病中も執筆を続けたという。妻の和子さん(72)は「本人は彫刻と同じくらい書くことも好きでした。この本は主人そのもの。多くの人に読んでもらえれば作者の心も満たされると思います」と話している。
 遺作集は「その一」(B5判133ページ)と「その二」(同115ページ)があり、いずれも赤穂市立図書館で読むことができる。


文化・歴史 ]

掲載紙面(PDF):

2018年9月1日(2291号)3面 (9,207,979byte)


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