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自筆の花押入り 山鹿素行の書状

2018年09月22日

  • 山鹿素行の花押がある書状

    山鹿素行の花押がある書状

 江戸前期の儒学者・兵学者で赤穂にもゆかりの深い山鹿素行(やまが・そこう1622―85)の自筆とみられる花押入り書状がこのほど見つかった。東京都内の収集家が入手。素行の花押が入った書状は珍しく貴重という。
 収集家によると、書状(縦15・0センチ、横42・7センチ)は交流のあった尼崎藩の家老に新春のあいさつや贈り物への御礼を述べたもので、今年3月、インターネットオークションに出品されているのを見つけ、落札した。
 「昨年12月に大火(天和の大火)があった」との記載があることから、素行が死去する2年前の天和3年に書かれたと考えられるという。素行の日記にも「息子藤介とともに松浦家に居て、鎮火ののち帰った」とあり、内容が一致する。花押は素行自筆の『配所残筆』の奥書に書かれているものと同じとみられる。
 『山鹿素行全集 思想篇』第15巻(広瀬豊編、岩波書店)には素行の文書が写しを含めて数十通収録されているが、花押があるものは少ない。一昨年に特別展「山鹿素行」を開催した赤穂市立歴史博物館の木曽こころ学芸員は「平戸松浦家と弘前津軽家に残されたもの以外で素行の書状が見つかること自体が珍しい」と話す。
 素行は訪問先や来客を逐一日記に書き留めており、各地の大名などさまざまな人物と広い交流があったことがわかっている。木曽学芸員は「この書状のように、まめに礼状を送る丁寧さが知人や弟子を増やしたことにつながったのでは」と推測した。


文化・歴史 ]

掲載紙面(PDF):

2018年9月22日(2294号)1面 (3,957,458byte)


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