赤穂市から約１３０キロ離れた関西電力高浜原発（福井県高浜町）で福島第一原発並みの放射性物質もれがあったと仮定した場合、同市における１歳児の甲状腺被ばく線量は７日間で最大「２０〜５０ミリシーベルト（ｍＳｖ）」となることが県のシミュレーションでわかった。国際原子力機関（ＩＡＥＡ）の判断基準では、甲状腺被ばく線量が５０ｍＳｖを超えると安定ヨウ素剤の予防的服用が必要としている。
　県は高浜、大飯、美浜、敦賀の４原発のいずれかから放射性物質の放出が６時間続いた−との想定で、１歳児甲状腺と成人全身の被ばく線量を推計。神戸、豊岡、篠山、丹波の４市町を代表地点に選び、地形や過去３年間の気象データを基に各地点の被害が最大となる場合の県域被ばく線量を４キロ四方のメッシュ図で示した。
　シミュレーション結果によると、大人よりも被ばくの影響を受けやすい１歳児の甲状腺被ばく線量が赤穂市で最も高かったのは、高浜原発で事故が起こった場合で「２０〜５０ｍＳｖ」。大飯原発から放射性物質が放出した場合は、北部で「５〜１０ｍＳｖ」、南部は「２〜５ｍＳｖ」となった。どちらも篠山における被ばく線量が最大のケースだった。成人の全身被ばく量はすべてのパターンで「１ｍＳｖ以下」だった。
　県は「代表地点以外の市町についても具体的な数値を試算して公表したい」と考えており、赤穂市危機管理担当は「国や県からのより詳細な情報や指示を待って、必要に応じた対策を考えたい」と話している。

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掲載紙面（PDF）：
2013年5月11日(2037号) 4面 (9,946,589byte)
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