赤穂民報

京都で「幻の赤穂緞通」展(3月28日)

 「日本三大緞通」の一つに数えられ、その製造技法が赤穂市無形文化財に指定されている赤穂緞通のすばらしさを広めようと、「幻の『赤穂緞通』展」が京都市中京区の文椿ビルヂングで開かれている。古い図案帳には載っているものの、これまでなかなか実物を目にすることがなかった図柄も含まれ、話題を呼んでいる。3月31日(月)まで。入場無料。
 主催は市民有志らで作る「幻の赤穂古緞通プロジェクト」。市教委が平成3年から開いた「赤穂緞通織方技法講習会」の1期生で、汚れや傷みで使われなくなった古い緞通の修復に取り組んでいる御崎の米田尋美さんを中心に昨年2月から準備してきた。
 赤穂緞通に造詣の深い京都の古美術商やインターネットオークションなどから購入。いずれも戦前に織られた貴重な品物だが、虫食いや染みを理由に粗末に扱われていたものばかり。中には玄関マットとして使われ、泥だらけになっていたものもあったという。
 「赤穂の文化遺産なのに。何とかよみがえらせて再び生活の場へ戻したい」
 取扱いの難しさゆえに、「緞通には手を出さない」とかたくなだった染み抜き業者を説得し、試行錯誤の末にクリーニングに成功。毛足が乱れているものには鋏を入れて筋を整え、仕上げは昔の技法に則り「敷き伸し」。板に打ち付けた緞通に水をかけて天日干しすると、往時に近い風合いがよみがえった。
 すでに完成している緞通の短い毛足を摘むのは新作を手がけるよりも至難で、1枚につき1カ月以上要したものもあったという。プロジェクトメンバーの一人で講習会3期生の橋羽一恵さん=福浦=は「どこまで鋏を入れるべきか判断が難しかったが、貴重な赤穂緞通を活かしたいとの思いを込めた」と作業を振り返る。
 赤穂市教委が平成15年に京都で行った調査では、祇園祭で山鉾町の旧家が自慢の美術品を展示する「屏風飾り」に敷かれている緞通の多くが実は赤穂緞通だったことがわかった。それらは残念なことに、「佐賀の鍋島緞通」と伝えられており、「作品が多く存在する京都で赤穂緞通の知名度を少しでも上げたい」との狙いもある。
 修復した古緞通は一畳敷き16種類20枚。「利剣」「亀甲」「牡丹」など代表的な図柄のほか、過去に見ることのなかった特注品と思われる文様も。一畳敷きとしては修復不可能なほどに損傷がひどかった3枚は額縁仕立ての小物作品17点に姿を変えた。市民から受贈した4畳半敷きを含む合計50点近くを展示し、修復実演も披露。古緞通と小物作品は販売も行う。
 緞通制作を習い始めたころ、粗大ゴミの中に古緞通が捨てられているのを知り、「涙が出そうになった」と語る米田さん。修復への思いはそれ以来、ずっと心に持ち続けてきた。「念願がかないました。うれしいの一言です」と喜びを語った。
 開館時間は午前11時〜午後8時。市営地下鉄「烏丸御池駅」から徒歩3分。問合せはTel075・255・4743。

(「幻の赤穂緞通展」出品前の修復された古緞通)

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