赤穂民報

高取峠トンネル要望 相生市との連携「休止」(8月12日)

 国道250号の高取峠トンネル事業化を図ることなどを目的とする相生・赤穂広域幹線道路整備促進協議会(会長=牟礼正稔赤穂市長)は、高取峠トンネル事業化を「中長期的な課題」とし、協議会を一旦休止することを決定した。

 今後は相生市と赤穂市がそれぞれの立場で要望活動を継続し、周辺道路の整備による交通状況の変化などを踏まえて協議会の再開を検討する方針だ。

 協議会は、▽高取峠トンネルの事業化▽県道竜泉那波線の整備促進―を目的の2本柱として赤穂市と相生市の市長、議会関係者、担当部長で2001年に発足した。03年から12年間の「休眠」期間をはさんで15年に再開。啓発ポスターの制作や講演会の開催などにも取り組んだが、ここ5年ほどは県に要望書を提出するのみとなっていた。

 2年前に当選した斎藤元彦知事が高取峠トンネル化について「今後の交通量や様々な要因を加味して検討する」との考えを持っている中、高取峠をめぐる状況としては、16年3月の坂越大橋開通によって朝夕の渋滞が緩和。14年〜18年の5年間で年平均約42件発生した交通事故件数は昨年は33件だった。かつて相生方面から年間約400件あった救急搬送も減少傾向にある。 

 協議会がトンネル化の必要性として「交通事故防止」「救命救急等医療ネットワーク上、解決されなければならない重要な課題」と掲げる中、県は代替策として現道を拡幅してカーブの角度をなるべく緩和する道路改良整備を行うとしており、"大義名分,,は薄らぐ可能性もある。一方、相生市が特に望んでいた国道2号と250号を結ぶ竜泉那波線の整備はすでに進捗率70%以上まで工事が進み、県の事業評価調書には「完成予定年度」として「25年度」と記載され、完成の目途が立っている。

 7月31日の協議会では、高取峠トンネル事業化について「これまで兵庫県へ継続的に要望を行ってきたが、未だ事業化の目途が立っておらず、一方、兵庫県は現在、交通安全対策事業を実施していることから、トンネルの事業化については中長期的な課題とする」とし、もう一つの要望事項だった竜泉那波線の整備は事業完了の目途が立っていることを踏まえ、「協議会は一旦休止することとし、今後は相生市と赤穂市がそれぞれの立場で、引き続き要望活動を行う」と今後の方針を承認した。

 市民の間では協議会の休止を「トンネル化をあきらめたということではないか」と受け止める見方も出る中、事務局は「あくまでも『休止』であって『廃止』ではない」(都市計画課)と強調。「竜泉那波線の整備完了によって高取峠に流入する車両台数が増加する可能性もある。交通量調査を行った上で必要に応じて協議会の再開を検討する」との考えだ。

 牟礼市長は「今後、竜泉那波線の事業進捗及び完了や高取峠の交通安全対策事業等の進捗、そして、その時点の交通状況等を踏まえ、改めて両市で協議のうえ、協議会の再開に向けた手続きを経て、再び両市による県要望を実施していきたい」とのコメントを出した。

 赤穂市が2022年に示した高取峠トンネルのルート候補案によると、整備にかかる概算事業費は「約86億円〜153億円」で、現在の峠を通行する平均所要時間(7分19秒)を「5分35秒〜5分44秒」に短縮できると試算されている。

(高取峠トンネルのルート候補案(赤穂市公表資料を基に赤穂民報が作成。トンネル区間を点線で示している))

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