赤穂民報

階段転落で大けが「看護師の卵」たちが救護(5月13日)

 駅の階段で誤って転倒して大けがした高齢者を関西福祉大学看護学部の学生たちが救護。とっさの善行が関係者から感謝されている。

 先月25日の午前9時45分ごろ、加里屋のJR播州赤穂駅南側のバス停側階段で伊丹市の男性(82)が転倒。階段を10段くらい滑り落ちる事故が起きた。

 「階段を降りていたら、自分のすぐ横に何かが落ちてきた音がしました。人だったのでびっくりしました」と話すのは関西福祉大学4年の由良茜璃(あかり)さん(21)=明石市=。男性は頭を階段下側に向けた斜めの体勢でうつぶせに倒れていた。頭や顔を強く打ったとみられ、額に大きなたんこぶができ、鼻からの出血で床に血だまりができていたという。

 由良さんが「大丈夫ですか」と声を掛けていると、同じ電車から降りた熊野七海さん(21)=高砂市=と小笹和香葉(こざさ・わかば)さん(21)=明石市=が駆け寄った。3人は看護師や保健師を目指して学ぶ同級生。スクールバス乗り場に向かっている途中に事故に遭遇した。

 男性は意識はあるものの自力では起き上がれず、か細いうめき声を発していたという。3人は救急車を呼ぶべきだと即断。由良さんが119番通報する間、熊野さんが男性を見守り、小笹さんは駅員へ知らせに走った。駆けつけた駅員と協力して男性を階段下の平らな場所へ移送。男性を迎えに来ていた男性の友人が車に積んでいた毛布を受け取ると、枕代わりにして男性の頭の高さを確保した。また、別の学生も「手伝えることはありませんか」と協力を申し出たという。

 男性の友人の話では、男性は毎週火曜日に伊丹から電車で赤穂を訪れて友人たちに会うのを楽しみにしており、この日は電車が到着したはずなのに迎えの場所に現れず、心配して見に行ったという。「たくさん血が出ている中で若い女の子たちがてきぱきと落ち着いて対処しておられました。きっと、そういうお仕事か勉強をされている人たちなんだろうと感じました」。

 3人は救急隊が到着するまで、「痛いところはないですか」「救急車呼んだからね」などと男性に声を掛けて励まし続けたという。消防と警察によると、男性は救急車とドクターヘリで姫路市内の医療機関へ搬送。男性の友人の話では首にギプスを着けているものの、元気に電話で会話できるまで回復し、命には別状はないという。

 「けがをされた方が、その後どうだったかずっと気になっていました。命に別状がないとわかって、それが一番うれしいです」と熊野さん。由良さんは「けがや病気の人には、まず寄り添うことが大事と大学の授業で学んだので、何とかしてあげないと、という思いだけで行動しました。とっさに動けたのは良かったと思います」。小笹さんは「もし、自分1人だったら不安だったけど、3人で協力できたので心強かった。将来は、頼られる看護師になりたいです」と目標を語った。

(救護した男性が転落負傷した現場の位置を示す由良茜璃さん)

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