赤穂民報

関福大リレーコラム・翼をつけたエンジェル(1月28日)

 どこでもドアーは不思議なドアー。希望の場所へと運んでくれます。読書はそんな力をもっています。

 読書によって、子どもは、翼をつけたかのように時空を超え、様々な人・モノ・コトと出会い、疑似体験を積み、生きることの喜びや悲しみ、愛することの歓喜や痛み、人生の複雑さを知るのです。やがて、人生の座標軸を組み立てながら自分なりの人生を歩んでいきます。

 ところで、人の成長には3つの「カン」を育てていくことが大切だと言われます。

 一つ目は、感動の「感」。6才までに培うもので、土遊び、砂遊びなどの自然体験や、その他の様々な原体験から身につけるもの。

 2つ目は、限度を判断する「勘」。10才までに経験(体験から学んだことを心の引き出しに整理していくこと)によって培うもの。「これ以上やると…。やばい!」と言うような第6感。

 3つ目は、〇〇観の「観」。究極は人生観。その基は「何が美しいか」という美意識と「何が正しいか」という倫理観。そして、これら3つのカンには順序性があって一つ一つ上に積み上げていかないと育ちません。つまり、「感」が土台となって「勘」を、それを土壌として「人生観」(生き方の指針)を形作るということです。

 読書はいわばこの3つのカンを育むための成長促進剤です。「はらぺこあおむし」が葉っぱをお腹いっぱいに食べて成長し蝶となるように、読書によって得た言葉を心の栄養として、自分なりに社会的自立を果たしてもらいたいのです。身につけたしなやかな翼で人生の旅路を飛翔していく姿が目に浮かんできます。

 人は自分を誇らしく思える時、輝いてみえると言います。赤穂の街がそんな輝きでいっそうまばゆく感じられることを願っています。

 〈お礼〉急速に変化しAIが仕事を奪っていく時代が到来しています。何よりも学び続けることが求められます。それの基となる4つのこと(豊かな人間性、知的好奇心、心の体力、読書)について4回にわたり寄稿させていただきました。これからも「本学が赤穂にあるということ」の意義を探究し続けていきたいと思っています。ありがとうございました。(山口偉一・教職センター教授)

 * * *

 次回からは教育学部児童教育学科の中田浩司講師が担当します。お楽しみに。

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