赤穂民報

【社説】このマニュアルで本当に十分なのか(4月6日)

 高野地区の安定型産業廃棄物最終処分場で周辺環境に変化が発生した場合などの「緊急事態対応マニュアル」が事業者から赤穂市へ提出された。

 市は「今後必要に応じてマニュアルの追加、変更はあり得るが、今のところ想定している緊急事態へ対応する体制は整えてもらえたと考えている」(環境課)と話すが、マニュアルを見て、まず感じたのは、「この内容で『緊急事態対応マニュアル』として十分なのだろうか」という疑問だ。

 例えば緊急事態の一つに想定されている「水質検査結果が管理目標値を超えていると確認した場合」の事業者の対応として、マニュアルでは「速やかに県、市に報告するとともに、その原因の解明を行い必要な措置を講じる」となっている。しかし、「管理目標値を超えた水」の施設外への流出をどのように防ぐのか、また、その水をどのように処理するのか、どのような方法で原因を解明していくのか、などといった点は何も記載がない。

 以前、危機管理の専門家に取材した際、「良いマニュアルかどうかの簡単な見分け方は、そのマニュアルを使って有事にとるべき行動を具体的に訓練できるかどうかです」と教わったことがある。その観点でこのマニュアルを見た場合、訓練できるのは県と市へ電話をかけることぐらいしかない。

 市は「何か起こった場合は事業者がちゃんとやってくれると思っている」(同課)と言う。それで済ますのなら、「事業者は市と協議し、緊急事態ごとに対応マニュアルを定めるものとする」とわざわざ協定で取り決めた意味がない。

 現状のマニュアルでは市民の不安を払拭できるとは思えない。市と事業者はマニュアルについて早急に再検討すべきだ。

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