赤穂民報

【社説】協定守れないなら操業すべきでない(3月16日)

 高野の安定型産業廃棄物最終処分場について赤穂市と事業者が締結している環境保全協定が守られていない事態が2件発覚した。

 一件は、廃棄物を搬入する際に撮影することになっている展開検査状況の記録写真が初回搬入時には撮影されていなかったこと、もう一件は緊急事態対応マニュアルを策定していなかったことだ。

 産廃最終処分場は「遮断型」「管理型」「安定型」の3種類があり、それぞれ埋め立てる廃棄物や施設構造基準が法律で定められている。このうち安定型処分場は、性質が化学的に安定しているとされる廃プラスチック類、金属くず、がれき類といった「安定5品目」のみ処分する前提のため、遮水工や排水処理施設などの設置義務はない。

 しかし、実際は安定型処分場が原因の環境汚染や死亡事故が発生した事例があり、日本弁護士連合会は2007年の時点で「安定5品目以外の物質が混入することが避けられない実態となっている。また、安定5品目自体に、人体や動植物への有害性が指摘されている物質が含まれていることも明らか」などとして、安定型処分場が今後新規に許可されないよう求める意見書を国に提出している。

 高野の産廃処分場は水道水の供給元である木津水源地取水口の上流約1・5キロメートルにあり、水質をはじめ周辺環境への影響を不安に思う市民は少なくない。市は「(協定が)遵守できれば、市民の不安は払拭できる」として協定を締結したが、現状を見るかぎり不安は増大している。

 特に、緊急事態対応マニュアルの不備は重大だ。本来は操業許可が下りるまでに整備しておくべきだったはず。市は「これから事業者にお願いして少しずつ積み重ねていくところ」(環境課)と言うが、マニュアルが整備されるまで操業を停止するよう市は事業者に求めるべきだし、事業者も操業を自粛すべきだ。

 これまでの経過を見ると、市も事業者も協定を軽んじていると言わざるを得ない。協定は単に行政と事業者との間だけの契約ではなく、市民との契約でもあることを忘れてはならない。

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