赤穂民報

【社説】事業者との話合いは関係正常化が先(11月5日)

 御崎の風致地区で民間事業者によるメガソーラー施設(大規模太陽光発電施設)の建設が事実上着工されて1年以上が経過した。工事は今年5月からストップしたままで、樹木を伐採されて裸地となった現場には太陽光パネルが梱包したまま置かれている。
 工事が止まったのは、事業者が計画地内の里道を許可なく損傷したり、当初計画を上回る面積を開発したりしたことを受け、必要な条例手続きを行うまでは工事を中断するよう赤穂市と兵庫県が指導したためだ。
 条例手続きに際して市と県は事業の最終形がわかる工事完成図面の提出を事業者側に求めている。図面作成には里道の位置を確定させなければならないが、所管する市建設課は「地元も納得した上で位置を確定するように事業者を指導している」という。
 一方、事業者側は「工事を妨害した」として御崎地区連合自治会の役員3人を刑事告発し、地元住民との間に溝を作った状態が続いている。工事の様子を確認しようと現地に赴いた役員らが里道に車を駐車したことを「妨害」と告発したものだが、地元住民からは「役員に圧力をかけるために刑事告発したのでは」と反感をかっている。
 役員によれば、告発を受理した警察に数日間にわたって任意の事情聴取を受け、その後、体調を崩して入院した人もあったという。市は風致条例に基づく工事許可の交付にあたり、「誠意をもって地元意思形成に努めること」を条件に付帯している。刑事告発は、この条件を無視した行為と言えるのではないか。
 本計画をめぐっては、治水計画や完成後のメンテナンス計画、事故が起こった場合の対応方針など、地元から事業者側へ要望すべき課題が数多く残されたままだ。そうした課題に対等な関係で臨むためにも、刑事告発が取り下げられるまでは事業者と会うべきではないだろう。
 事業者側の京電(京都市西京区)は10月28日、赤穂民報の取材に対し、「地元との関係を円満にしたいと考えている」と語った。今後の動向を注視したい。

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